中国のIT事情が知りたい
中国にはどんなIT企業があるの?
それぞれの企業の特徴は?
こんな疑問にお答えします。
阿里巴巴 (アリババ)
アリババは1999年3月、当時浙江省で英語教師をしていた馬雲(ジャック・マー)によって設立されました。
2003年には中国でのECの先駆けとも言われる淘宝(タオバオ)事業を開始します。
翌年の2004年には電子決済サービス支付宝(アリペイ)を導入します。
2003年当時中国のCtoC事業において80%以上のシェアを誇っていたeBayが、支付宝の登場により3年後にはシェアが8%未満にまで減少し中国からの撤退を余儀なくされました。
その後も中国国内向け電子商取引サイト天猫(Tモール)やアリババクラウドコンピューティング、eスポーツに注力するアリスポーツなど多方面で事業を展開しています。
騰訊控股 (テンセント)
テンセントは1998年11月に馬化騰(ポニー・マー)によって設立されました。
現在では中国で一番人気のSNS企業に成長し、2017年にはアジア企業で初めての時価総額5000億ドルを突破しFacebookを超えました。
テンセントの代表作がオンラインコミュニケーションツールであり、ペンギンがトレードマークのQQです。ユーザー数も2018年時点で6億人以上を記録しています。
QQの特徴はチャットだけでなくアバターの作成やコミュニティへの参加などソーシャルネットワークの機能も備えているところです。
その他にも日本でいうところのLINEのような役割を果たしている微信(Wechat)もテンセントが提供するサービスです。
このWechatは全世界200か国以上で使われており、月間アクティブユーザー数はなんと10億を超えます。
Wechatは決済機能も充実しており、中国の都市部の消費者の98%が3か月以内にモバイル決済プラットフォームを利用したことがあると答えるなどモバイル決済がいかに浸透しているかわかります。
滴滴出行 (DiDi)
滴滴出行は北京市に本社を構える、カーシェアや自転車シェアなどのシェアリングエコノミー事業を手掛ける大手ライドシェア企業です。
アリババグループの金融関連会社であるアント・フィナンシャル再編前のアリペイで幹部社員だった程維が2012年に創業開始しました。
今では1日の乗車平均数が2500万まで達し、カーシェアの本家であるUberの業務量の10倍にまで成長し世界最大のライドシェア・プラットフォームとなりました。
創業当初は苦労の連続で北京市内の100社のタクシー会社を訪問したが1社もアプリのダウンロードには応じてくれませんでした。
程維はそれでも諦めず唯一導入を検討してくれた北京市郊外のタクシー会社と連携しサービスを拡大していきました。
通勤ラッシュの時間帯、ルート、目的地などのビックデータを活用し、いかに顧客が快適に利用できるか分析し続けました。
先端技術の導入や試行錯誤の結果、Wechatなどで口コミが広がり中国の類似サービスの中でも抜きんでた存在となりました。
衆安保険 (ZhongAn)
衆安保険はアントフィナンシャル、テンセント、平安グループによって2013年11月に共同設立されたインターネット専業のインシュアテック(Insurance×Technology) 企業です。
消費財保険、医療保険、自動車保険、航空機遅延保険など様々な保険商品を扱っています。
提携している会社は300社以上あり、アリババ・テンセントなどの大手企業からアメリカのAirbnbなどのスタートアップ企業まで様々です。
設立から3年程で累計顧客数は5億人を突破し、保険契約数は約72億件と驚異的なスピードでビジネスを拡大しています。
また、KPMGとオーストラリアのH2Venturesが毎年発表している「Fintech100」では3年連続5位に選出され、話題を集めました。
衆安保険をこれほどまでに成長させたカギは従来の発想にとらわれない斬新な商品設計と価格設定や保険の申し込み、賠償申請さえもインターネット上ですべて完結させる手軽さにあります。
微衆銀行 (Webank、ウィーバンク)
微衆銀行はテンセントグループのインターネット専業の銀行で2014年の12月に設立されました。
微衆銀行の大きな特徴は実店舗を持たず業務をすべてオンライン上で済ませるという点です。
2015年の5月より個人向け少額ローンサービス「微粒貸」を開始し、Wechatとの連携、融資審査・振込の高速化を実現し利用者を着実に増やしていきました。
以下の画像が微衆銀行のざっくりとしたビジネスモデルです↓
微衆銀行は金融機関・インターネット企業・顧客の仲介役のような役割を果たしています。
金融機関から資金を提供してもらう代わりにインターネット企業から得た顧客データを基にした顧客チャネルを共有し、そこで生じる手数料が微衆銀行の主な収入源となっています。
京東銀行 (JDファイナンス)
京東集団は大手電子商取引会社の1つです。
2004年にEC事業に本格的に参入し2017年の取引高は約1兆3000万元にも上り、ユーザー数も約3億人と、1年で約3割増しと急成長しています。
京東集団はEC事業と物流事業以外にも2013年にフィンテック企業である京東銀行(JDファイナンス)を立ち上げました。
京東銀行はAI・IoT・ブロックチェーン・クラウドコンピューティング・ビックデータなどの先端技術を用いて金融機関に向けて金融取引のスマート化を推進しています。
2017年6月には最大手の取引先である中国工商銀行と提携を結びます。
同年11月にはその中国工商銀行が人工知能技術を応用したロボットアドバイザリーサービス「AI投」を発表し話題になりました。
商湯科技 (センスタイム)
商湯科技は2014年に香港中文大学の湯暁鴎教授によって設立されたAIスタートアップ企業です。
商湯科技はいち早くディープラーニング技術を画像認識に応用し、顔認識・文字認識・車両認識物体認識画像処理などの分野において世界のリーディングカンパニーとなっています。
商湯科技の強みは以下の4つです。
1.トップ大学との連携
→MIT、スタンフォード、清華大学などの名門大学出身者が150人在籍
2.高い計算能力
→8000個以上のGPUからなるGPUクラスタ環境を運用
3.高精度の正確性
→業界最大規模の顔認証データをベースにした高い正解率
4.グローバルパートナーシップ
→中国本土・日本・シンガポール・アメリカなど700社以上と提携
曠視科技 (Megvii)
曠視科技は清華大学の卒業生である印奇が中心となって設立された人工知能の会社です。
先に紹介した商湯科技とはライバル関係にあります。
曠視科技は顔認証を専門的に研究しているFace++を保有していて、そのFace++研究所は顔認証技術の第一線を走っています。
Face++研究所の社員の平均年齢は25歳前後と全体的に若くとても勢いのある企業です。
社員の中には数学オリンピックで金メダルを取った者など、いわゆる数学の天才が多く在籍しています。
以下の画像はFace++による顔認証画面です↓
Face++は2012年頃より自社の顔認証技術を無料で外部に提供するサービスを開始し、業界内の開発者の間で口コミが広がり徐々に認知度が上がっていきました。
さらに、開発者だけでなく金融機関向けにAPI接続をすることによって利用できる「FaceID」というサービスを展開し、2017年には顔認証されたユーザー数約3億人にまで上りました。
科大訊飛 (iFlytek、アイフライテック)
科大訊飛は1999年に安徽省にある中国科学技術大学に在籍する学生によって設立されました。
創業して半年で300万元あった研究開発費が底を尽きてしまい、廃業の危機に陥りましたが地元に優秀な人材を残すために政府が3000万元の研究資金を提供しました。
政府の支援を受け科大訊飛は10年の歳月をかけ世界的な音声認識のAI企業に成長しました。
2017年には中国政府が主導する「次世代AI発展計画」でBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)に並び国家AIプラットフォームの第一弾企業に選出されました。
さらに、科大訊飛は2014年に機械通訳のレベルを競い合うIWSLTコンテストで圧倒的な強さを見せつけ英語ー中国間の通訳分野で優勝を果たしました。
並外れた技術力が話題を呼び今では12億台を超えるスマホ・ロボットに使われています。
出門問問 (Mobvoi、モブボイ)
出門問問は2012年にグーグルの元サイエンティストである李志飛によって設立されたAIスタートアップ企業です。
自然言語処理・テキストマイニング・音声識別・サーチテクノロジーなどの技術を独自に開発しグーグルの戦略パートナーにもなっています。
出門問問の代表的な商品としてアンドロイド版のスマートウォッチ「TicWatch」が有名です。
TicWatchはスケジュール管理・睡眠観測・音楽・運動管理など様々な機能が搭載されており、中国国内バージョンに至っては決済機能まで備わっています。
その他の製品としてAIスピーカーのTicHome、ワイヤレスイヤホンの「TicPods Free」、車載端末の「Ticmirror」、車載運転アシスタントの「Ticeye」などがあります。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は中国で注目のIT企業についてまとめてみました。
少しでも新しい発見があれば幸いです!
こちらの記事では中国のEC事情についてまとめてあるのでよかったらチェックしてみてください↓
それではまた♪
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